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自分の芸術性を存分に発揮するために大切な心がけとは?

    
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自分の芸術性を存分に発揮するために大切な心がけとは?

芸術性を追求することは、
偉大なる芸術家だけに、
許された権利でしょうか?

いえ、実は誰にでも
その権利はあるのです。

ただ、
自分の理想とする、
芸術性を追求したいなら、
決して避けては通れない、
心がけがあります。

今回は、
そのことについて、
お話してみようと思います。

ご興味があれば、
最後までお付き合い下さいませ。

芸術がわかっていなかったあの頃

魔女医のあたくしが、
まだ「魔女っ子」だった頃の、
お話です。

魔女医になるには、
あらゆる魔力の修行を、
しなければなりませんでした。

芸術も、
魔力の1つだったのです。

あたくしはまだ、
魔女医の修行を、
始めたばかりで、
芸術のことをまるで、
わかっていませんでした。

それなのに、
芸術は一流の師から学びたい、
などと生意気な考えを持ち、
厳しい師匠の下に、
自ら飛び込み、
修行していました。

あたくしの選んだ、
芸術の道、
それは、音楽でした。

音楽と言っても、
クラシック音楽です。

本気で取り組んだ楽器は、
バイオリンでした。

しかも、
バロックから古典、
つまり、
バッハ、ヴィヴァルディ、
ヘンデル、モーツアルト、
などを 、
徹底的に叩き込まれました。

そんな、
未熟で一生懸命だった、
あの頃の、
あたくしを、
懐かしさとともに、
振り返ってみたいと思います。

毎回こっぴどく怒鳴られる

おい!魔女っ子!ば・か・た・れ・か!お前は!

鬼師匠

ひえーすみません!

魔女っ子

お前の音楽には、点も、丸もねぇーんだよ!メリハリがなくてだらしないし、ちっとも面白くない!

鬼師匠

ヒィー!き、きをつけます。

魔女っ子

しばらく弾く

なんだ、その色気のない音楽は!

鬼師匠

色気ですか?色気は、まだよくわかりません。

魔女っ子

おばかか?お前は?芸術ってのはなぁ、色気があってなんぼなんだよ!

鬼師匠

はい。意識してみます。色気、色気、「うふーん」って感じかしら?

魔女っ子

しばらく弾く

ダメだ、ダメだ!こうだ!俺様が弾いてみせるから、耳の穴かっぽじって、よく聴いとけ!

鬼師匠

はい!

魔女っ子

お手本演奏

(はあーなんて繊細で、優美な音色なんだろう。うっとり。あの鬼師匠が弾いているなんて、信じられない!)

魔女っ子

ほら、わかったか?やってみろ!

鬼師匠

は、はい。

魔女っ子

しばらく弾く

あん?よくみたら、なんだ?そのおもちゃみたいな楽器は?

鬼師匠

楽器まで、ダメですか?

魔女っ子

そんな、おもちゃみたいな楽器で弾いてるから、いつまでたっても上手くならねぇーんだよ!

鬼師匠

は、はい、すみません。

魔女っ子

もう、お前の汚い音楽なんか、聴く気がしないから、帰れ!

鬼師匠

でも、まだ、レッスンの時間が余ってますよ。もっと教えて下さい。しくしく。

魔女っ子

バカヤロウ!泣くなら、今すぐ帰れー!

鬼師匠

自分なりにもがくがわからない

鬼師匠から、
毎回、毎回、
こっぴどく怒られ、
芸術ってなんなんだろう?

考えても、考えても、
答えは出ませんでした。

けど、
あんなに口が悪くて、
こわい鬼師匠が、
一度音楽を奏でると、
なんとも言えない優美な、
世界に連れて行かれる。

鬼師匠は怖いけど、
あの優美な世界に行きたくて、
ついついまた懲りずに、
レッスンに行ってしまう。

芸術には、
はかりしれない、
魔力がある。

未熟ながらに、
それだけは感じていました。

その後も、
音楽は好きでしたけど、
芸術性を追求するレベルには、
到底到達せず、
ただなんとなく、
好きだから、
続けていました。

そして、
そのうち、
他の修行が忙しくなって、
音楽は遠のいていったのです。

しかし、
時を経て大人になり、
魔女医見習いになった頃、
今度はピアノが、
やってみたくなり、
習い始めました。

音楽の本場ドイツで、
才能を認められて学び、
演奏家として活躍していた、
音楽エリートの、
音エリ師匠に出会いました。

音エリ師匠は、
とてもチャーミングな女性で、
演奏家として活躍した後は、
ドイツでピアノを教えてもいい、
ピアノ講師の資格をとり、
長年教えていたのです。

あたくしは、
そんな音エリ師匠に気後れし、
しかも音楽にブランクもあり、
ピアノは幼い頃に、
少し習っただけだったので、
自信がなくて恥ずかしくて、
モジモジしていました。

ある一言でハッとする

あの、あたくし、音楽のセンスはないみたいなので、基礎練習だけでもいいです。

魔女医見習い

何を言っているの、魔女医見習いさん。音楽は、曲をやらないと、何も学べませんよ。

音エリ師匠

でも、その前にテクニックがなってないですから。

魔女医見習い

テクニックは、あくまで、その曲を、自分の思うように表現するために、必要なだけですよ。曲をやらないと、あなたに必要な基礎練習や、テクニックもわかりませんよ。

音エリ師匠

では、簡単なのからやってみます。

魔女医見習い

難易度よりも、できれば、好きな曲を選んでください。あまり難し過ぎるのは、ダメですけど。

音エリ師匠

え?自分の好きな曲を選んでいいんですか?

魔女医見習い

当たり前じゃないですか。ただ、あんまり弾けないと、苦行になるし、楽しくないので、そこそこ弾けるかもしれない中で、好きな曲、弾きたい曲を選びましょう。

音エリ師匠

(なんか、前の鬼師匠と全然違うな)

魔女医見習い

けど、自分の好きな曲なんて、恥ずかしくて、言えないです。どれを選んでも、私には難しいし、身の丈に合ってないというか。

魔女医見習い

恥ずかしい?魔女医見習いさん、何を言っているんですか?芸術というのは、恥や遠慮を捨ててから、全てが始まるんですよ。

音エリ師匠

え?恥や遠慮を捨ててから、始まる?

魔女医見習い

芸術に恥はいらない

そうです。芸術に、恥や遠慮はいりません。恥ずかしがって、遠慮して、モジモジしていると、芸術は台無しですから。そんな表現は、みても、聞いても、何も美しくありませんよ。

音エリ師匠

ええ?

魔女医見習い

人の目、人の評価を気にしすぎです。芸術は、自分との戦いです。

音エリ師匠

でも、下手くそだと、ばかにされますよね?私は前に、ばかたれ、ばかたれ、と言われて、音楽を学んできました。

魔女医見習い

恥ずかしがって、小さく縮こまった音楽なんか、ちっとも魅力的じゃないですよ。日本人の子供たちの多くは、手先は器用だし、よく練習するのに、恥が強くて、人目を気にするから、非常に勿体無い音楽になっています。そうじゃない子も、もちろんいますが。

音エリ師匠

そうなんですか?

魔女医見習い

ドイツの子供達は、例え、下手くそでも、こう弾きたいと自己主張して、教師とぶつかり合うこともしょっちゅうです。

音エリ師匠

え?教師にたてつくんですか?

魔女医見習い

あんまり、おかしな音楽だと、こっちも譲れませんけど、対等に、意見を交わします。上から押さえつけることはしませんよ。

音エリ師匠

えー?私が幼いころに学んだやり方と、全然違いますね。

魔女医見習い

恥を捨ててからが芸術の始まり

ですから、今すぐ、恥は捨ててください。全ての芸術に、恥は必要ないですから。

音エリ師匠

そう言われても、すぐには。

魔女医見習い

では、例えば、他に好きな芸術は何かありますか?

音エリ師匠

バレエの舞台を観るのが好きです。

魔女医見習い

主役のプリマが、ちょっとしくじって、舞台上で、恥ずかしそうにモジモジしていたら、どう思いますか?

音エリ師匠

うわー!一瞬にして、興ざめします。一瞬にして、現実に引き戻されます。

魔女医見習い

そうですよね?あなたは、それと同じことをしようとしているのです。

音エリ師匠

ええ?

魔女医見習い

芸術を追求する者に、プロも、アマもありません。芸術的な活動をしたいなら、恥や遠慮を捨てるのが、最低限の礼儀です。

音エリ師匠

最低限の礼儀?

魔女医見習い

はい。芸術に対する、礼儀です。恥ずかしそうに、遠慮して、自分の表現したいことを閉じ込めておくのは、芸術に対して失礼です。

音エリ師匠

うまくやることばかり考えて、そんな風に考えたことは、一度もありませんでした。

魔女医見習い

とりあえず、どの曲を選んでも、恥ずかしくないので、言ってみてください。

音エリ師匠

は、はい。大好きな憧れの曲です。ショパンの嬰ハ短調のワルツが弾いてみたいです。

魔女医見習い

いいじゃないですか!魔女医見習いさんに、雰囲気ぴったりですよ!

音エリ師匠

え?そうですか?よかった思い切って言ってみて。

魔女医見習い

その調子です。恥や遠慮があっては、芸術性は、発展しません。これから、音楽活動を再開するに当たって、よく覚えておいてください。

音エリ師匠

わかりました!恥や遠慮を捨てて、なりふり構わず、やってみます!

魔女医見習い

(音エリ師匠は、口調は穏やかで優しいけど、よく考えたら言ってる内容は、結構厳しいな)

魔女医見習い

自分を信じると表現の幅が広がる

その後、あたくしは、
自分の音楽に対して、
恥や遠慮を捨てて、
取り組みました。

自分が、
こうと思ったら、
変かな?と思わず、
やってみることにしました。

魔女医見習いさん、なかなかいい音を持ってますね。とても個性的な音です。

音エリ師匠

そうですか?

魔女医見習い

なかなか出せる音ではありません。しかし、もっと脱力ができると、さらに磨きがかかります。

音エリ師匠

わかりました。

魔女医見習い

フレーズの取り方も、かなり独特です。それ以上やり過ぎると、違和感があるかもしれませんが、おおっと思わせる何かがあります。

音エリ師匠

え?やっぱり変ですかね?どうしよう。

魔女医見習い

大丈夫です。まずは、思い切って弾いてみてください。あまりに、型なしで不格好になっていたら、ちゃんと注意します。必要なテクニックも教えます。一度型にはめた方が良さそうだったら、それも指導します。それが教師の役目ですから。

音エリ師匠

はい、それなら、まず自分を信じて、思う存分やれそうです。

魔女医見習い

型ももちろん大事ですが、型だけ模倣するなら、今や機械のほうが優れています。型を破って、あなた独自の表現を生み出していくからこそ、芸術に発展するのです。

音エリ師匠

はい。なんとなく、わかってきました。

魔女医見習い

それは、機械には真似できません。人間にしか成し得ないのです。そこをよくわかっておいてくださいね。

音エリ師匠

はい。ありがとうございます!

魔女医見習い

まとめ

いかがでしたでしょうか?

偉そうにしている、
あたくしにも、
あんなにいけてない、
悲惨な時代が、
ありました。

今では、
懐かしい
思い出の1ページです。

魔女医になるには、
色々な分野の、
修行が必要なのです。

それにしても、
鬼師匠は怖かったですね!

後にも先にも、
あんなにこわい、
師匠に出会ったことは、
ありません。

鬼師匠が、
あまりに優れた演奏家で、
かつ厳しかったので、
魔女っ子時代は、
思い切って自分の表現ができず、
縮こまって面白くない音楽になり、
悪循環になっていたのですね。

きっと、
あたくしの恥と遠慮が、
真の芸術家である鬼師匠を、
かなりいらだたせて、
いたのでしょうね。

芸術は、
恥と遠慮を捨ててから、
始まる。

基本的なことですが、
日本は元来、
恥じらい文化なので、
簡単なようで、
なかなか難しいですよね。

しかし、
誰にでも発揮すべき芸術性は、
備わっているものです。

そして、
それは、
自分に合った、
どんな方法でも、
発揮できるはずです。

もし、
仕事でも趣味でも、
何か芸術性を、
発揮したいことがあれば、
恥と遠慮を捨てて、
取り組んでみて下さいね。

最後まで、
お付き合いいただきまして、
ありがとうございました。