人と比べて落ち込むたび、本音が黙り込んでいた
〈わたし〉
先生、最近…
どうしても人と比べてしまうんです。
そして、比べるたびに落ち込んで、自分を責めてしまう。
〈先生〉
それで、「こんな自分、弱いな」って思うのね。
〈わたし〉
はい。
素直に祝福できない自分が、情けなくて。
性格が悪いのかもって、嫌になります。
〈先生〉
でもね、比べてしまうことも、妬むことも、自然な感情よ。
問題は、その感情を“なかったこと”にしようとすること。
〈わたし〉
でも、そんな感情、あまりに醜い気がして…
〈先生〉
それは、小さいころから「いい子」でいようとしてきたからじゃないかしら。
本当は、嫉妬も、怒りも、すべて心からのサイン。
妬みもまた、あなたが本当に求めていたものを知らせてくれているのよ。
〈わたし〉
求めていたもの…
〈先生〉
たとえば、あなたが妬むその人は、
本当はあなたが“なりたかった姿”を生きているのかもしれない。
〈わたし〉
……
そういえば、昔、舞台に立つことに憧れていました。
でも無理だって諦めて、
「私には関係ない」って感情に蓋をしてきたような気がします。
〈先生〉
それよ。
その“本当はこうなりたかった”という想いを抑え込んで、
いつしか、自分の本音を黙らせてしまった。
それが、心に澱のように残っていって──
妬みというかたちで、あなたに訴えかけているの。
〈わたし〉
じゃあ…
妬みって、悪い感情じゃないんですか?
〈先生〉
妬みは、あなたの中の“黙っていた願い”のかけら。
それをちゃんと拾い上げて、「わたし、こうなりたかったんだよね」って認めてあげれば、
少しずつ癒えていくのよ。
〈わたし〉
わたし、ずっと…
「妬むなんてダメ」って、自分の感情を否定していました。
〈先生〉
それが“愛毒”。
愛されたいがゆえに、感情を押し殺して、
本音を失ってしまった心の状態。
〈わたし〉
でも、そうやって比べて苦しくなる自分にも、意味があったんですね。
〈先生〉
もちろんよ。
妬みを感じたときこそ、
“ほんとうの自分”に還るチャンスなの。
人と比べて落ち込むとき、
それは、あなたの中の「願い」が、静かに叫んでいるサイン。
見て見ぬふりをしないで、
ただ「そうだったんだね」と寄り添ってあげてほしい。
そうすれば、
妬みは毒じゃなく、
あなたの“光”へと変わっていくから。
この記事は、有料note『愛毒』と呼応しています。
誰かの期待に応えすぎて、自分を見失ってきたすべての人へ。
「愛されたい」がゆえに飲み込んできた本音を、
静かに解毒していくための物語です。
【読む】愛毒|わたしを縛る「やさしさ」の正体