“私には才能がない”と思っていた人が、創造性を取り戻すまでの話
〈わたし〉
先生、私ってやっぱり、何も生み出せない…所詮、凡人なんですね。
〈先生〉
どうしたの?そんなにしょげて。
〈わたし〉
小さい頃から音楽が好きだったんですけど、全然新しいメロディーが浮かばなくて。作曲ができないから、やっぱり才能なんてなかったんだなって。
〈先生〉
それなら、今さら落ち込む必要はないんじゃない?
〈わたし〉
でも、どこかで「私にだって、何かあるかもしれない」って思ってしまって。だから自分探しの旅に出てみたんですけど…。
〈先生〉
いいわね、自分探し。で、何か見つかった?
〈わたし〉
…それが、考えれば考えるほど、わからなくなってしまって。
〈先生〉
たくさん考えたのね。疲れてない?
〈わたし〉
疲れました。知識や経験を総動員して、セミナーや本で学んだことを思い出して、ああでもないこうでもないって。でも、何も生まれないんです。
〈先生〉
そこが面白いところね。たくさん考えて、それでも創造性が出てこなかったのなら、それって、創造には“考えること”が必要ないってことかもしれないわ。
〈わたし〉
じゃあ、どうすればいいんですか?考えないって、どういうことなんでしょう?
〈先生〉
知性や理性じゃなくて、本能や直感に耳を澄ますの。たとえば「なんとなく好き」「なんとなくやってみたい」っていう感覚、あるでしょ?それを信じてみるの。
〈わたし〉
…それって、ちょっと怖いです。本能のままに生きるなんて、めちゃくちゃになりそうで。
〈先生〉
もちろん、すべてを野放しにするわけじゃない。でも、子どもって、理性が未発達でも、自由で豊かに遊びながら、すごく創造的よね?
〈わたし〉
たしかに、子どもの方が想像力にあふれています。
〈先生〉
でも、大人たちに「ダメ」と言われたり、「ちゃんとしなさい」と言われるうちに、その自由さが抑えられていくの。
気づけば私たちは、“いい子”でいることと引き換えに、創造性を封印してしまう。
〈わたし〉
それが、私にも起こっていたんですね…。
〈先生〉
そう。だけど、創造性を取り戻したいなら、子どもの自分に会いに行くことから始めていいのよ。
今のあなたには、それを邪魔する大人はいないんだから。
〈わたし〉
本当に、戻れるんでしょうか?
〈先生〉
戻れるわ。たとえば深い呼吸をしたり、体を動かしたり、無意味に声を出したり──。
創造性って、実は“体”から湧いてくるものなの。頭じゃないのよ。
〈わたし〉
体から…ですか?
〈先生〉
脳の働きでいうと、創造性の源は“辺縁系”と呼ばれる本能的な領域。理性を司る前頭葉は、形を整えるのには役立つけれど、最初の「芽」はそこじゃない。
〈わたし〉
つまり、理性ばかり使っていると、芽が出ないんですね。
〈先生〉
そういうこと。まずは子どものように、無邪気に遊ぶような感覚を取り戻してごらんなさい。
そこから、きっとあなたにしかない創造が芽吹いてくるから。
〈わたし〉
…ちょっと楽しみになってきました。ありがとうございます、先生。
〈先生〉
こちらこそ。ようこそ、“創造の旅”へ。
【まとめとご案内】
創造性とは、特別な誰かに与えられた能力ではなく、
誰の中にも眠る “いのちのはたらき”です。
でも、多くの人がそれを封印してしまうのは、
優しさ、常識、期待に応えようとするあまり、
“本当の自分”の声を後回しにしてきたからかもしれません。
小冊子『愛毒』では、そんな「やさしさの仮面」の奥にある、
本当の声と出会いなおす旅を描いています。
どうぞ、あなた自身の創造性と向き合うための、
小さなきっかけにしていただけたら嬉しいです。
▶︎ 小冊子『愛毒』はこちら(リンク設置)