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趣味を聞かれて、すぐに答えられない自分に気づいた男が、好きなことを語れる自信を再駆動するには?

趣味が答えられないのは、役割の外側にある「自分」が空洞化しているから。無理に趣味を作る前に、自分が何を大事にして生きるのかを取り戻す。

宇谷悦子

この記事を書いた人

宇谷悦子

心理翻訳家 | 精神科医

精神科医として20年以上、多くの方の心に向き合ってきた経験から、40代以降の男性が抱える「言葉にならない違和感」に輪郭を与え、自信の再駆動を支援しています。

  • 医師免許・精神保健指定医
  • 臨床経験20年以上
  • 40代男性の自己理解・自信回復を支援
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Published 2026.07.07 こころの違和感

「趣味は何ですか?」

そう聞かれて、言葉に詰まったことはないだろうか。

別に、何もしていないわけではない。映画も観るし、音楽も聴く。本だって読む。でも、それを「趣味です」と自信を持って言えない自分がいる。

なぜか。

それは、趣味の問題ではない。

もっと深いところで、「役割の外側にある自分」が空洞化しているからだ。

仕事では、肩書がある。職場では、役割がある。家庭では、父や夫としての立場がある。

だが、それらを全部剥がした時、あなたは何者なのか。何に興味があり、何を大事にして、何に心を動かされる人間なのか。

その輪郭が、ぼやけている。

だから、趣味を聞かれても答えられない。

趣味というのは、単なる暇つぶしの手段ではない。「自分という存在の輪郭」を示すものでもある。だからこそ、輪郭がない人間は、趣味も語れない。

これは、40代以降の男性に多い。

若い頃は、まだ「自分探し」みたいな余白があった。好きなことを試し、興味に従い、自分というものを形成していく時期だった。

だが、社会に出て、責任が増え、役割が固まっていくにつれて、「役割の中の自分」だけが強化されていく。

そして気づけば、役割を離れた自分が、ほとんど残っていない。

休日、何をしていいかわからない。趣味と呼べるほど熱中できるものがない。ただ時間を消費しているだけのような感覚。

それは、怠けているわけではない。

「自分が何者なのか」を、長い間見ないふりをしてきた結果なのだ。

問題は、趣味がないことではない。自分が何を大事にして生きているのか、その軸が見えなくなっていることだ。

趣味を無理に作ろうとする人がいる。

ゴルフを始めてみる。ジムに通ってみる。資格を取ってみる。読書会に参加してみる。

別に悪くはない。だが、それが「やらなきゃいけない気がする」という義務感から来ているなら、結局続かない。

なぜなら、根本的に「自分が何に意義を感じるのか」が曖昧なままだからだ。

趣味を探す前に、やるべきことがある。

それは、自分の中に「座右の銘」のようなものを持つこと。

別に、立派な言葉である必要はない。誰かに発表するものでもない。ただ、自分が生きていく上で「これだけは譲れない」「これがあれば自分らしい」と感じられる何かを、ぼんやりとでもいいから言葉にしてみることだ。

たとえば、「自分は、誰かの役に立つことに充実を感じる」という人もいる。「新しいものに触れている時が一番楽しい」という人もいる。「ひとりで静かに何かと向き合う時間が好きだ」という人もいる。

それは、価値観でもあるし、生き方の軸でもある。

その軸が見えてくると、趣味もボランティアもライフワークも、すべてが繋がり始める。

「これは自分の軸に沿っている」と感じられるものには、自然と意義が生まれる。逆に、どれだけ流行っていても、自分の軸からズレているものには、どこか虚しさが残る。

趣味が語れない男は、趣味がないのではない。自分の軸が見えていないだけだ。

軸が見えれば、何をしていても「これは自分にとって意味がある」と感じられる。読書でも、散歩でも、料理でも、音楽でも、何でもいい。

そして、その軸を持った人間の語る言葉には、重みが出る。

「趣味は何ですか?」と聞かれた時、単に「映画です」と答えるのではなく、「自分は、人間の内面が描かれているものに惹かれるんです」と語れるようになる。

それは、趣味の説明ではない。自分という人間の輪郭を、相手に示している行為だ。

だから、まず必要なのは、趣味を探すことではない。

自分が何を大事にして生きていくのか。何に心を動かされるのか。どういう時に充実を感じるのか。

そこに目を向けることだ。

それは、内省的な作業になる。一人で考える時間も必要だし、場合によっては誰かとの対話の中で言語化されることもある。

けれど、そこを避けたまま表面的に趣味を作っても、結局どこか空虚なままだ。

40代は、まだ遅くない。むしろ、これから自分を再構築していくには、ちょうどいいタイミングでもある。

今までは役割の中で生きてきた。だが、これからは役割の外側にある自分を、もう一度形作っていく。

そのためには、無理に趣味を探すのではなく、自分の中に「これだけは大事にしたい」という軸を持つこと。

それが見えた時、趣味は自然と語れるようになる。

なぜなら、趣味とは結局、「自分がどう生きたいか」の表現だからだ。

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