疲れが取れないのは、休み方のせいかもしれない
疲れているのに、休んでも疲れが取れない——
そんなときの、とっておきの回復法。
がんばって働いて、ちゃんと寝ているはずなのに、
まるで充電されない。
心も体も、どこか薄ぼんやりと重たい。
そんなときにこそ知っておきたい、
“本当の休息”の話があります。
これは、とある女性と、人生経験豊かな先生との対話を通して描かれた、
自分を甘やかす勇気と、
回復の本質についての物語です。
休んでいるのに、なぜか疲れが増していく
「好きな音楽すら聴きたくないし、
ご飯も“食べる作業”になってて、
何をしても回復する気がしないんです」
目の前の仕事に追われながら、
気分転換に出かけても、友人と会っても、なぜか疲れは消えない。
その女性は、ある日、静かな口調の先生に問いかけた。
—「これって、このまま進むとうつになっちゃうんでしょうか?」
先生は、微笑みながら言った。
—「その“休み方”、逆効果になっているかもしれないわね」
—
赤ちゃんに戻るという発想
—「えっ、どういうことですか?気分転換は大事だと思ってたのに…」
—「本当に回復したいならね、“赤ちゃんに戻る”のが一番いいわよ」
—「は?」
—「そう、生まれたての赤ちゃんのように、
“食べて、寝て、出す”だけの日々に還るの」
—
先生はこう続けた。
—「心理学で有名な“マズローの欲求5段階”ってあるのだけれど、
最も下にあるのが“生理的欲求”。つまり、生きるために最低限必要なことだけをする状態」
—「おっぱい飲んで、ねんねして、しっこして、うんちして、また明日。
それが赤ちゃんの仕事。そして、それこそが“休息の本質”なのよ」
—
なぜ“赤ちゃんモード”が効くのか?
—「今のあなたはね、脳の電池が切れかけてるの」
—「脳の電池?」
—「そう。思考も感情も、電気信号で動いてる。
電池が減ったらまず“使うのをやめる”ことが必要なのに、
私たちは“がんばって回復しよう”としがちなの」
—「気分転換のはずが、刺激を増やして余計に疲れてるってことですね」
—「その通り。だから、“最低限の生命活動”にまで落とす必要があるの。
それができると、ほんとうに“エネルギーが戻ってくる”のよ」
—
湯治場という選択肢
—「でも、仕事もあるし、育児や介護がある人だって…」
—「そうね、いきなり“2週間赤ちゃんモード”なんて難しい人も多い。
でも、たった“2泊3日”でもできることはあるのよ」
先生が提案したのは、昔ながらの湯治場の旅館。
—「高級旅館じゃなくていいの。
起きたいときに起きて、食べたいときに食べて、
風呂に入って、眠りたいときに眠る。
それだけの生活が、立派な“療養”になるのよ」
—「それなら、なんとかできるかも…」
—
本当のプライド、本当の回復
—「大人になるとね、誰も“甘やかしてくれない”の。
だから、自分で自分を甘やかす必要があるのよ」
—「甘えるのって、弱さじゃないんですか?」
—「違うわ。甘えられる場所があるから、人はまた立ち上がれるの。
思春期の子だって、疲れれば“赤ちゃん返り”するでしょう?
あれと同じで、“退行”や“依存”は、生き延びるための知恵なの」
—「なるほど…ボロ雑巾みたいになる前に、自分を守るってことですね」
—「そう。賢い人は、もう気づいているの。
頑張る力より、“回復の仕方”の方が人生を支えてくれるってことに」
—
エンディング|人間レベル、1つ上がりました
数日後、あの女性が再び先生を訪ねてこう言った。
—「湯治場、行ってきました。
まるで生まれ変わったみたいです。本当に極楽でした」
先生は、にっこりと笑いながらこう言った。
—「ててててってってって〜♪ あなたは“真の休息法”を手に入れた。人間レベルが1上がったわ」
—「え、なんかゲームっぽい…」
—「いいの。これからは、“脳電池切れ”の人を見かけたら、
あなたが教えてあげる番よ」
—
まとめ|“甘やかし”は、生きる力になる
本当に疲れているとき、
わたしたちは“正しい努力”よりも、“正しい休息”を選ばなければいけません。
「疲れているのに休めない」
「休んでも元気が出ない」
それは、休息の本質を見失っているからかもしれません。
赤ちゃんのように、“生きることだけ”に立ち戻る時間。
それは怠けでも逃げでもなく、
もう一度、自分の力を取り戻すための小さな解毒の時間です。
どうかあなたも、自分をあたたかく甘やかしてあげてくださいね。
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