リラックスするためにモーツァルトの音楽が欠かせない理由とは?
先日、職場の健康診断の時、
モーツァルトの音楽が流れていました。
最近、介護施設や、病院で、
モーツァルトの音楽が流れているのを、
よく耳にします。
リラックスを必要とする場所で、
モーツァルトの音楽は使われやすく、
実際、それを聴いている皆さんが、
穏やかに過ごしているような雰囲気を感じます。
なぜ、モーツァルトの音楽は、
多くの人の耳に邪魔にならず、
癒しの効果があるのか?
改めて考えてみました。
ところで、皆さんは、
どんな音楽が好きですか?
そもそも、音楽は、好きですか?
私は、なぜか、幼い頃から、
ほとんどクラシック音楽にしか、
興味がありませんでした。
と言いながら、カラオケでは、
演歌や歌謡曲を歌いますが笑
最近は、グレゴリオ聖歌隊にも、
はまっていますが、
家族から、一体何の儀式をやっているんだと、
あやしまれます笑
話を戻しますが、
クラシック音楽の中でも、
とりわけ、バロックから古典、
ロマン派初期までの音楽にひかれます。
しかし、何と言っても、
ダントツで、モーツァルトが好きです。
一説によると、モーツァルトは、
下品で、貴族社会をバカにして、
エロやお酒やギャンブルが大好きな、
非常に俗っぽい人だったようです。
なのに、なぜ、
いやむしろ、だからこそ、あのような、
美しい音楽を生み出すことができたのか?
この探求は、もはや私の、
ライフワークの1つにもなっています。
ところが、このモーツァルト、
聴くのは誠に心地よいのですが、
自分で演奏するのは、
かなり骨が折れるのです。
それでも、ピアノソナタを、
全楽章通して弾き終わった時の、
あの高揚感は、病みつきになります。
ある種の至福を味わえます。
音楽とともに人生を歩んできて、
成長とともに、モーツァルトへの考察を、
深めてきましたが、
最近、さらに感じていることがあるので、
一度書いてみようと思いました。
かなりマニアックな内容かもしれませんが、
ご興味のある方は、どうぞ最後まで、
お付き合いくださいませ。
小さい頃から刷り込まれたモーツァルト
あたくしが、
まだ幼い少女だった頃のお話です。
あたくしは、
モーツァルト好きな父の影響で、
子供の頃から、
モーツァルトの音楽ばかり、
聴かされていました。
いや、むしろ、あたくしの方から、
好んで聴いていました。
しかし、父には、こだわりがあり、
ほとんど室内楽しか聴きませんでした。
幼い頃は、バイオリンをしていたので、
アンサンブルや、コンチェルトなどの曲は、
自分の練習にも参考になりました。
しかし、
オペラやレクイエムや交響曲は、
ほとんど聴いていなかったので、
大人になってから、少しずつ、
自分で聴くようになりました。
聴くのは好きだけどうまく弾きこなせない
その後、
魔女医見習いになり、
ドイツで活躍した音楽のエリートである、
音エリ師匠にピアノを指事するようになりました。
うーん。見習いさん、だいぶ、上手にまとまってきたんですけどね。
音エリ師匠
音エリ師匠、あたくしは、モーツァルトが大好きで、ピアノソナタに挑戦しましたが、今、後悔してます。
魔女医見習い
どうしてですか?
音エリ師匠
あたくしは、もっと、鼻歌を歌うように、軽やかに、モーツァルトを弾きたいのに、音符を追うのが精一杯で、楽しく弾けません。
魔女医見習い
そうですね。見習いさんのモーツァルト、ちっとも面白くありませんよ。
音エリ師匠
ああ。やっぱり。どうしたらいいんでしょうか?
魔女医見習い
天才が作った音楽ゆえに
やっぱり、モーツァルトは天才だから、弾きこなすのは、難しいのでしょうか?
魔女医見習い
決して、テクニック的には難しくはないのですが、ただ音符を追うだけの弾き方だと、最悪な音楽になります。
音エリ師匠
最悪な音楽?
魔女医見習い
はい。退屈極まりない音楽です。
音エリ師匠
まさに、私の弾き方がそうなんですね?
魔女医見習い
ふふふ。そして、テクニックのもろさや、ごまかしが、非常に目立ちやすいのも、モーツァルトです。ボロが出やすいのです。
音エリ師匠
ああ!やっぱり私には無理です。やめます。
魔女医見習い
そうですか?でも、いい勉強になりますよ。少しコツを教えますので、もう少し頑張ってみませんか?
音エリ師匠
やっぱり、好きだから、ある程度は、思い通りに弾けるようになりたいです。よろしくお願いします。
魔女医見習い
モーツァルトの真髄を知らなかった
見習いさんは、モーツァルトがお好きなようですが、何を聴いてきましたか?
音エリ師匠
はい。ほとんど、聴き込みました。オペラとレクイエム以外は。
魔女医見習い
え?モーツァルトの真髄は、オペラとレクイエムですよ。
音エリ師匠
え?じゃあ、私は、真髄を聴いてこなかったんですか?
魔女医見習い
ピアノソナタを弾くには、オペラを聴くことは、絶対に必要です。
音エリ師匠
そうなんですか?
魔女医見習い
私自身、ドイツでの音大生時代、巨匠からオペラ鑑賞に行けと、しつこく言われました。
音エリ師匠
ピアノ科なのに、ですか?
魔女医見習い
そうです。そして、ドイツでは、学生は、リハーサルや本番を含め、劇場にタダもしくは安く入れるのです。
音エリ師匠
えー!いいですね!さすが、音楽の国ですね。
魔女医見習い
才能ある若者には、お金などの投資を惜しみません。最近は少し変わってきたようですが。
音エリ師匠
ぜひ、それは、変わらないで欲しいですね。
魔女医見習い
そして、レクイエムを含む、モーツァルトの数少ない短調つまり暗い曲にも、真髄があります。
音エリ師匠
それは、なんでしょう?
魔女医見習い
安っぽくてお涙ちょうだいのような感傷的なものが、一切取り除かれた、本物の絶望です。
音エリ師匠
こ、こわいですね。
魔女医見習い
冷酷で、残酷な、本物の、絶望です。
音エリ師匠
わ、わかりました。こわいので、それ以上言わないでください。
魔女医見習い
物語と登場人物を意識すると面白く弾ける
少し、モーツァルトがわかってきましたか?
音エリ師匠
は、はい。絶望は置いといて、とにかく、オペラを聴いて、物語を意識してみたらいいですか?
魔女医見習い
そうですね。ストーリーと、キャラです。
音エリ師匠
キャラ?
魔女医見習い
そういう視点を持って弾いてみると、次から次へと、登場人物が現れますよ。
音エリ師匠
確かに、モーツァルトの音楽は、展開が早いですね。このフレーズを弾いていたかと思うと、すぐに、違うフレーズが出てきます。
魔女医見習い
そう。そして、何かセリフを言っているようではないですか?
音エリ師匠
確かに。物語と登場人物で、音楽が紡がれていってますね。
魔女医見習い
そうでしょう。テーマと、パターンを持った、物語そのものです。
音エリ師匠
テーマとパターンを持った物語。まるで人生みたいですね。
魔女医見習い
そうです。それを意識して弾くと、音楽に、どんどん色が出てきます。
音エリ師匠
色ですか?
魔女医見習い
そうです。見習いさんの、モーツァルトは、平坦で、色が全くありません。
音エリ師匠
そ、それは、確かに、面白くないですね。
魔女医見習い
棒読みで、大根役者で、モノクロです。
音エリ師匠
ああ、恥ずかしい!モーツァルトの真髄が分からずに、ただ、音符を追って弾いてました。
魔女医見習い
弾き手によって全く変わってくる音楽
さあ、それを意識して弾いてみてください。このピアノソナタは、どのオペラにしましょうか?
音エリ師匠
短調の暗い部分がないので、「フィガロの結婚」のドタバタ喜劇はどうでしょうか?
魔女医見習い
ぴったりですね!そうしましょう。
音エリ師匠
いいですね!だいぶ色がついて、色気が出てきました!
音エリ師匠
え?色気も必要ですか?
魔女医見習い
モーツァルトの音楽には、色気が欠かせませんよ!ピンクですよ、ピンク!そう、その調子です。
音エリ師匠
なんとなく、わかってきました。
魔女医見習い
プロのピアニストでさえ、面白くないモーツァルトを弾いてますから、誰かの演奏を参考にするときは、要注意です。
音エリ師匠
モーツァルトの音楽は、弾き手によって、そこまで変わってくるんですね?
魔女医見習い
テクニックも、表現も、もろに出ます。それだけ純粋な音楽なんです。
音エリ師匠
純粋ってどういうことなんでしょうか?
魔女医見習い
それは、見習いさんが、音楽人生をかけて、追求していってくださいね。
音エリ師匠
は、はい。わかりましした。
魔女医見習い
ドイツの子供達はモーツァルトが大好き
少しだけヒントです。モーツァルトは、子供と、お年寄りが、最も上手に弾けると言われています。
音エリ師匠
え?なぜですか?
魔女医見習い
どうしてなんでしょうね?邪念がないからでしょうか?お年寄りはともかくとして、ドイツの子供達は、とにかく、モーツァルトを、弾くのも、聴くのも、大好きです。
音エリ師匠
子供の心までとらえる、モーツァルトって、やっぱりすごい魔力がありますね。
魔女医見習い
そうです。私の師匠は、有名な巨匠ですが、子供みたいな人でした。弟子たちに、モーツァルトの指導をしているときは、常に小躍りしてましたよ。
音エリ師匠
え?巨匠なのに?しかもレッスン中に?
魔女医見習い
そうです。いつも楽しそうに。
音エリ師匠
巨匠に小躍りさせてしまう、モーツァルトって、やっぱりすごいですね!
魔女医見習い
思考を感じない音楽
あたくしは、
音エリ師匠の話を聞いて、
なぜモーツァルトの音楽が、
子供達や、子供みたいな大人や、お年寄りを、
ひきつけるのか、考えてみました。
ここからは、推測の域を出ませんが、
モーツァルトには、
ベートーベンや、ブラームスのように、
考えながら曲を作っている感じがないのです。
頭に思いついた瞬間、
最初から最後まで、音楽が物語として、
すでに出来上がっているのです。
そして、モーツァルトは、
それをただ音符に落として書いただけなのです。
だから、聴く方も、
思考を通過して、本能で聴いているのです。
そして、おそらく、その物語は、
誰にでも共通する、
物事や事象の本質のようなものを、
とらえているのです。
なので、まだ、
思考や知性が十分に発達していない子供達や、
人生の終盤に来て、物事を思考や知性でだけで、
とらえすぎなくなった、
いわば、悟りの境地に近づいた、
お年寄りたちに、より響くのであり、
表現しやすいのです。
思考や知性にとらわれて、まみれている人が、
頭でモーツァルトを弾こうとしても、
到底無理なのです。
そういう意味で、
モーツァルトを演奏するのは、
非常に難しいのです。
思考を通過して情動に訴える何かがある
これは、何も、モーツァルトの音楽に、
限ったことではないのかもしれません。
芸術や美を鑑賞するときに、
思考や知性に訴えるのではなく、
そういうものを通り越して、
本能、つまり、情動という、
脳のより中心で原始的な部分にある、
人類共通の本質的なものに、
働きかけるようなものが、
多くの人の心を、
とらえてやまないのではないでしょうか?
そういう感覚で、
物事をとらえられるようになると、
自分の芸術性や美意識が、
広がってきたような気がします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
そう言えば、子供は、時に、
芸術や音楽に対して、
残酷なジャッジをしますね。
「ママ〜この音楽つまんなーい」
など、本能で、厳しく、ジャッジを下します笑
大体、的を得ているから、
面白いですね。
幼い子供の前では、
ごまかしの下手な演奏はできません笑
つまり、モーツァルトの音楽が、
多くの人々にリラックスをもたらすのは、
緊張を生み出す思考に作用せず、
本能的な部分に、
直接働きかけているからではないでしょうか?
とは言え、私は、
逆にモーツァルトの音楽を聴いていると、
楽しくて、高揚して、その音楽に没頭し、
他のことに集中できません笑
音楽の好き嫌いはあると思いますが、
どうか、皆さんも、
自分がリラックスできる音楽を、
うまく活用してみてはいかがでしょうか?
音楽でリラックスしたい方が、
おられましたら、
参考にしてみてくださいね。
最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました!