ある心の情景 何かに迷った時
私は大草原の中にいて
ポツンと一人でベンチに座り
誰かを待っている
すると向こうから見覚えのある
初老の男性がやってきた
初めて会った時もそうだった
ニコリともせず会釈をして
その後、すっと隣に座った
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「元気にしてた?」
「はい。」
「何か聞きたいことがあるの?」
「あの、私がこれからやろうとしてること、これでいいのかな?と思って、、、」
「ふむ。あの言葉だね。」
「そうです。あの言葉で大丈夫かな?誤解されないかな?と少し心配です。」
「ははは。大丈夫だよ。あの言葉。」
「本当ですか?」
「歌うように、踊るように
楽しく楽しく、軽やかに軽やかに 伝えて伝えて」
「そっか。それでいいですよね。」
「そう!モーツァルトのように」
「モーツァルト?」
「だって、僕たちはいつでもモーツァルトが好きだったじゃないか。」
「ああ、そうでしたね。語り合った日々がなつかしいな。」
「それを確認したかったの?」
「あなたなら、そう言ってくれる気がして。」
「ふむ。人生は案外長い。けど、限りはある。」
「はい。」
「だから、ゆっくり急いで。」
「え?どういうことですか?」
「あ、もういかなきゃ。自分を信じてね。元気で。」
「また、会えますか?」
「もちろん、いつでも、必要な時に。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
答えは自分の中にあるのはわかっているけど
こうやって誰かからも認めてもらえると
ほっとしてしみじみと涙が出てくる
自分をいつでもあたたかく応援してくれる存在
自分の中にある未熟な精神が
小さく縮こまっているのを
ふわっと解きほぐす魔法のようなもの
その初老の男性は
今は亡き精神科医のメンターの姿をしていた
その時その時で
誰がやってくるかはわからない
大草原にポツンとあるベンチ
あなたも座ってみませんか?